千年企業研究会

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第51回

財務分析について(2)

■今回の講義内容について

前回に引き続いて財務分析について取り上げたいと思います。今回は「定量的分析」について講義を進めたいと思います。数字で表せない「定性的分析」に対し、「定量的分析」は数字で表すことができるものです。別の角度で言いますと、前者は原因であり、後者は結果と言えます。定量的側面は分析するだけでなく、経営の政策に反映させることが重要です。

■財務分析の分類について

定量的分析は(1)収益性分析、(2)安全性分析、(3)成長性分析、(4)生産性分析に分類できます。(1)は損益計算書に基づくもの、(2)は貸借対照表に基づくもの、(3)は対前年で比較するもの、(4)は1人当たりの生産性に基づくものです。いずれの視点も重要なものです。今回は費用と収益の関係、収益性分析について取り上げていきます。

多くの企業は売上高から原価を引き粗利益、ここから経費を引き営業利益、ここから借入金等の利息を計上して経常利益、ここから特別損益を計上して税引前当期純利益、ここから税金を引いて当期利益を計上します。

粗利益は収益の大本となりますので、一般的には高ければ高い方が良いとされています。したがって、最大限に高めることが求められます。ここから経費を引いた営業利益は本来的な利益と言えます。続く経常利益という概念は日本独特のもので、IFRSにはありません。日本では借入金を経費と一線を画している事によります。

特別損益は「お化粧」と称されることがあります。例えば、経常利益が赤字のとき、所有不動産を売るなどして、決算書の見栄えをよくすることからそう呼ばれます。多くは会社が苦しい時に計上しますので、なるべくなら出さない方が望ましいと言えます。最後に税金を引いて当期利益を計上することとなります。各段階の利益に様々な意味合いがありますので、それを掴むことが重要です。

例えば、当期利益が2億円のA社と1億円のB社があったとします。これだけ見ればA社の方が優秀ですが、売上高がA社1000億円、B社10億円であった場合、当期利益率がそれぞれ0.2%、10%となり、この点においてB社が優秀と言えます。かと言って一概にどちらが優秀ということは言えません。売上高は企業の顔であり、規模を示すものです。1000億円規模の企業活動における社会貢献度は大いに評価できるポイントと言えます。この様に財務分析には大局的な視点が求められます。

■当期利益の処分について

当期利益の処分については、役員の賞与、配当金、内部留保に分けられます。株主の承認、社内の調整を経れば、どのような配分にしても問題ありません。当期利益における内部留保の割合を社内留保率と言います。この数値には会社の健全性、安定度や経営方針が表れます。発展途上の企業においては、今後の成長を見据えて70~80%程度が望ましいと言えます。

一方、当期利益における配当金の割合を配当性向と言います。以前は1%程度ということもありましたが、外国人投資家の圧力もあり、近年は40%という数字も珍しくありません。財務分析では様々な数値が算出されますが、1つの側面だけでなく、様々な面からバランスよく分析することが重要です。

2016年5月 開催

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