千年企業研究会

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第52回

財務分析について(3)

■今回の講義内容について

前回に引き続いて財務分析について取り上げたいと思います。損益計算書では売上高から原価を引き粗利益、ここから経費を引き営業利益、ここから借入金等の利息を計上して経常利益、ここから特別損益を計上して税引前当期純利益、ここから税金を引いて当期利益を計上する、ということを前回ご説明しました。今回はまず、税引前利益について取り上げたいと思います。

■税引前利益について

損益計算書では税引前利益に実効税率を掛けて、税額を決めるとお伝えしましたが、正確には所得に実効税率を掛けて決定します。損益計算書はあくまで会社の意見であり、各社の事情に左右されます。会計上は収益-費用で税引前利益を計上しますが、税務上は益金-損金で所得を計上します。

両者の違いは様々な項目があります。例えば配当金は収益に計上されますが、益金からは控除されるケースがあります。配当金は納税後の当期利益から捻出されるもので、ここから税金を引くと二重課税になるという考え方があるためです(二重課税にはならないとする考え方もあります)。一方、費用については一定の交際費や法定を上回る減価償却費を損金として認めないケースや、貸倒引当金も否認されれば損金として計上されません。企業も個人と同様に、確定申告書の別表4で税務調整をして、所得を確定します。

■収益分析について

収益分析をする上での指標として売上高総利益(粗利)率(額)、売上高営業利益率(額)、売上高経常利益率(額)、売上高当期利益率(額)が挙げられます。どれも大事な項目ですが、本業でどれだけ儲けたかを示す売上高営業利益率が特に重要です。これが10%を超えますと、高収益企業と言えます。また、率のみならず、額も重視したい項目です。 他にもROA(Retun on Assets)・総資産利益率、ROE(Return on Equity)・純資産利益率も重要な指標です。どれだけ資本勘定で利益を上げたか示すROEは海外投資家に注目されています。一般的に欧米は高く、日本は低いと言われており、平均値は8%程度です。

図1

損益分岐点(BEP・Break even point)についても取り上げたいと思います。こちらは固定費を限界利益(売上高-変動費:図中B)で割って算出します。例えば、固定費が100万円、商品の販売単価が1000円、仕入単価が500円の場合、2000個が損益分岐点(図中赤丸)となります。これによって計上されるのは営業利益(図中A)の有無です。こちらからは利益を最大化するためには固定費を下げることが重要であるといったことおわかり頂けるかと思います。 物の考え方は様々ありますので、これらの指標を分析し、じっくり考えて、商売の成り立ちを理解して頂きたいと思います。

2016年6月 開催

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