千年企業研究会

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第56回

労働基準法の違反について

■労働基準法の違反について

本日も労働法について取り上げたいと思います。本講義では細かい知識について学ぶことで人事担当者を育成するといったことは目的としておりません。労働法に対して経営者の視点で大局的に見て頂くための講義とお考えください。取り上げる内容については社会常識の一つとお考え頂き、肩の力を抜いてお聞き頂きたいと思います。

前回、労働基準法に違反すれば懲役刑を課されることもあるという話を致しました。最も重い刑罰になると、10年以下の懲役まで定められています。こうした刑罰が適用されるのは「暴行、脅迫、監禁等により、精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制する」といった特殊なケースに限られますので、一般的な経営者であれば、これに該当するということは通常ありません。

一方、現実的なものとしては、36協定、休日や有給休暇の取扱い等の違反で、6ヶ月以下の懲役が課される場合がありますので、十分に注意して頂きたいと思います。違反者として書類送検されますと大変な損失を受けることとなります。ちなみに書類送検とは身柄を拘束されないだけで、法的には逮捕と変わりがなく、刑事・民事の裁判で争うこととなります。法廷闘争となれば、多額の弁護士費用や書類代等がかかります。これらは会社が負担すると株主から代表訴訟を受けるため、個人で負担せざるを得ません。また、有罪判決が出れば、その会社での将来が断たれることにもなり、金銭以外の損失も少なくありません。たかが労働基準法違反と軽んじることがない様に、肝に銘じて頂きたいと思います。

■均等待遇について

均等待遇について巡る論議として「男女同一」「正規雇用と非正規雇用」等が代表的です。一般論として言われている数値で、正規雇用の男性の平均賃金を100とした場合、正規雇用の女性が67、非正規雇用の男性が41、非正規雇用の女性が37になると言われています。この点について、日本は世界と比べて遅れているとされています。

男女での格差を是正すべく、男女雇用機会均等法が施行されたのが昭和61年のことです。賃金格差を解消するため、男性の賃金を下げる訳にはいかないものの、女性の賃金を上げれば全体のコストが上がります。そこで当時の企業は「総合職・一般職」という枠組みを作りました。表向きは性別での格差ではなくなりましたが、それぞれの男女比を見ますと総合職が9:1、一般職が1:9と言われており、実態としての解決には至っていません。それは同法が施行されてから30年経った今も進んでいません。

この状況にILO(国際労働機関)から圧力がかかり、同一労働同一賃金推進法が今年6月に施行されました。しかしながら同法は「3年以内に法制上の措置を含む必要な措置を講ずる」とするに留まっており、実効性は不透明と言えます。それでも、徐々にではありますが、均等待遇実現に向けて進んでいるものと思います。

2016年11月 開催

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