千年企業研究会

2017
2016
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第60回

経営者に求められる能力について

■講義を始めるにあたって

本日は新たに参加された方もいらっしゃいますので、もう一度この千年企業研究会の意義についてお伝えしたいと思います。本講義は関連会社の社長となり得る人材の育成を目的として、名誉会長から開講する様に仰せつかりました。「企業は人財である」という名誉会長のお考えから、5年、10年先を見据えて開講した勉強会です。社長になるために何を学ぶべきか、私も心を新たにしてお伝えしたいと思います。

本講義は「会社法」、「会計学」、「労働法」、「法人税法」を中心に取り上げるものですが、これらを勉強すれば社長になれるかと言いますと、そう簡単なものではありません。では、これらを知らなくても良いかと言いますと、それも違います。経営者としてより適切な判断をするために、これらの知識をベースに経営に当ることが重要と言えます。会社法は上場企業であれば特に重要であり、会計学は企業規模に関係なくベースとなります。現在、取り上げている労働法については細かい法律の話ではなく、法そのものの狙いや目的、また「人を大切にする精神」を一番にお伝えしたいと考えています。

■経営者に求められる能力について

本日は識者が考える「経営者に求められる能力」についてお伝えしたいと思います。

(1)経営はセンスだ
こちらは某国立大学教授の言葉で「経営はセンスだ。学んでも仕様がない」と言われてしまうと学生はがっかりするそうですが、学んだからと言って経営者になれるものではないというのは一理あるかと思います。日本の大企業の経営者にも、大学を卒業していない方も数多くいますし、大学で学んでいなくとも、優良企業を築き上げています。経営者の役割の一つとして、意思決定をすることが挙げられます。会社にとって重要な選択を勢いでするのではなく、知識、経験では割り切れないもので判断していく、まさにセンスが求められると言えるかと思います。

(2)経営は時代認識だ
続いてはとある評論家の言葉で「経営には政治経済の動向を中心とした時代認識が肝要である」としています。これは即ち、歴史認識とも言えます。今日を見極めるためには過去の流れから判断することとなります。過去と現在から未来を判断し、意思決定の一助とする能力です。周辺環境の状況から「今後どうあるべきか」の判断をするということです。

(3)経営は倫理だ
当社の名誉会長は「経営とは倫理である」としています。会社経営がつまづく原因は資金繰りの悪化、労務問題、商品の流行遅れ等、様々ですが、問題が惹起する根本には倫理の問題、平たく言えばコンプライアンスの問題があることが多いものです。先に挙げたセンス、時代認識も大事ですが、最も大切なのはこの倫理観ではないかと思います。経営者の倫理観とは「人、特に従業員を大切にすること」です。倫理観が無い人が経営者になるのは不幸とさえ言えます。

続いて企業のガバナンス(統治)について取り上げたいと思います。経営者の持つ権限は強大であるため、横暴を許さないための監視を目的として、監査役を置くこととされています。しかしながら日本では内部から任命される慣習もあり、監視体制が不十分と言われていました。不祥事が起きる度に、外資から監査委員会を導入すべきという圧力を受けています。監査委員会とは米国型の監視体制で、外部取締役を中心に構成されます。

同じ取締役でも日米で役割が異なります。米国で言う取締役は日本で言う監査役であり、日本で言う取締役は米国では執行役(Chief Operations Officer)であり、経営に対して最も強い権限を持ちます。日米どちらのガバナンス体制が良いかは一概には言えません。現に米国の企業でも不祥事は起きています。結局、最後は倫理観が大切かと思います。倫理観が無い人はどんな法があっても、それをかいくぐって悪事を働きますし、倫理観がある人は法がなかったとしても、道を外すことはありません。

2017年3月 開催

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