千年企業研究会

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第63回

労働関係調整法とその背景について

■労働関係調整法とその背景について

皆さんに経営者としての知識を身につけて頂くという信念で講義を続けておりますが、ドラッカーが「経営は常識」と言っている様に、知っている事がいつ役に立つかということはわかりません。それでも様々な知識を覚えておくことが何よりも大切だと思います。

前回まで労働組合法について取り上げましたが、今回から労働関係調整法について取り上げたいと思います。法そのものについて触れる前に、その背景を知って頂きたいと思います。憲法第28条には労働者の基本権について記されています。この28条で(1)労働者団結権、(2)労働者団体交渉権、(3)労働者団体行動権という三つの権利が保障されています。つまり、労働者は憲法28条によって守られているという事です。この事は、経営者として彼らとどう接するかを考える上で、原点となります。得てして忘れがちですので、肝に銘じて頂きたいと思います。

■個別の労働紛争について

労働紛争は大きく集団的労使関係、個別的労使関係の2つに分かれます。前者を取り上げる前に、まずは個別的紛争をどう解決するかについて取り上げたいと思います。個別的紛争の対象は主に(1)賃金、(2)休暇、(3)残業手当、(4)セクハラ・パワハラ、(5)採用・退職の5項目に分かれます。会社における不満は概ねこの5項目に当てはまると思います。では、これらの不満が生まれた時に、労働者はそれを誰に訴えるかについて考えたいと思います。

(1)直属の上司、人事部長、社長
まず相談が持ち込まれるのは直属の上司です。そこで解決を見なければ、人事部長へ、それでも駄目なら、現実的ではないと思いますが、社長へ持ち込まれることになります。大切なことは親身になって考え、その場での解決を目指すことです。社員の鬱憤が溜まれば、問題は次のステップへ持ち込まれます。

(2)企業内労働組合
労組がある会社であれば、労組へ問題が持ち込まれます。まず、労組の組織構造についてご説明します。労組は執行部(本部)と支部に分かれ、前者は委員長、副委員長、書記長(次長)、執行委員と言った役職で組織されます。後者は支部長(中央委員)、組合員で構成されます。こちらが一般的な組織となります。では、問題がどこに持ち込まれるかと言いますと、多くは支部長に持ち込まれ、現場の責任者である支店長等と掛け合うこととなります。それでも解決しなければ、本部へと持ち込まれ、多くは書記次長が対応します。 さて、労働問題が労組でもまとまらない場合は経営陣と組合本部による経営協議会に持ち込まれることとなります。場合によっては、個別的な紛争がここまで発展し得るということを覚えておいて頂きたいと思います。協議会での議長(経協議長)は経営者側から選ばれ、社内的に強い実権を持ちます。取締役における代表権の有無と並んで、会社のパワーバランスを見る重要なポイントになりますので、覚えておいて頂きたいと思います。

(3)上部団体
社内の労組で解決しない場合には、まれに上部団体に持ち込まれることもあります。産業別の労組、さらには連合となりますが、連合へ問題が持ち込まれることは通常ありません。

(4)サラリーマンユニオン
主に社内に労組がない人を対象とした労働組合です。憲法28条がありますので、経営者側は外部団体だからと言って同ユニオンの交渉を拒むことはできません。

次回も管理職ユニオン、労政事務所等、労働問題が持ち込まれる組織、機関について取り上げたいと思います。

2017年6月 開催

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