千年企業研究会

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第76回

アメリカの賃金制度について②

■アメリカの賃金制度について

 本日はアメリカの賃金制度について話をしたいと思います。
何度かお話しさせて頂いておりますが、社長というのは最終的には「常識」で判断する事が多いと思います。そういう意味では、様々な知識を習得しておくことが大切なのではないかと考えています。今日の話も実際にすぐに役立つかどうかは判りませんが、皆さんの知識の一つとして聞いて頂ければと思います。
 アメリカは不思議な国で、アメリカで始まった手法が20~30年経つと日本でも取り入れられる様になります。ですから皆さんが社長になる頃、今のアメリカの物の考え方が役に立つかもしれません。
 ところで、日本の制度についてですが、日本の働き方や賃金の考え方が固まったのは明治維新後の10~20年の間と言われています。日本は保守的な国なので、制度をぶち壊す事は中々出来なかった訳ですが、ある程度ぶち壊したのは戦後の事になります。日本は戦争に負けてからマッカーサーが来て財閥解体や農地改革やら色んな事をして飛躍的に伸びました。明治維新で固まり、戦後で固まって、今の働き方改革に繋がってくる訳ですが、そんなに変わらないのではないかと考えています。
 私は45年前に2ヶ月間アメリカに行ってきましたが、大変ショックを受けました。当時の2ヶ月間で得た事は本当に濃密で学校でどんなに勉強しても及ばないと思います。その経験が前回お配りしたレジュメに書いてありますが、その前に印象に残った話をしたいと思います。レジュメの話はその後にしようと思います。
 私が勉強した所はシカゴ国際第一銀行という銀行です。今のランキングは判りませんが、当時アメリカでベスト10に入っていた大銀行でした。エンパイアステートビルと同じ位の高さがあるシカゴの本店で勉強しました。
 賃金の支払い方で教わった事があるのでお伝えしたいと思います。
①年収制・・・幹部社員以上(役員、オフィサー)←大学院 ビジネススクール(MBA)
②月給制・・・大半の社員、クラーク
③週給制・・・窓口応対の人、テラー
④日給制・・・パート労働(正社員でない人)
⑤時間給・・・パート労働(正社員でない人)
⑥出来高払い・・・靴磨き等
⑦瞬間給・・・チップ

■アメリカの就職時のコースとMBAについて
 アメリカにおいて就職する際、自分で賃金の支払方法を選べるかというとそうではありません。私はアメリカの方が日本より余程封建的だと思っています。何故なら、年収制になる為には大学を出ただけでは駄目で一般的には2年制大学院のビジネススクール(MBA)を出なければなれないのです。
 大学院2年制をマスターコース、4年制をドクターコースと言います。MBAとはMaster of business Administration(経営学修士)の略になります。MBAを取ると幹部社員になるルートがあります。ではMBAを取るとすぐに年収制になるのかというとそうではなく、この中でも色々なヒエラルキーがあります。年収制と月給制には非常に大きな溝があります。大抵は月給制のクラークである程度頑張った後、年収制になります。
 他にアメリカの特徴として日本と違う就職の考え方があります。日本では就職よりも就社の考え方が強いと思います。アメリカでは職(コース)を選ぶという事です。自分は総務に行きたいとか経理に行きたいとかを自分で決めます。年収制の人たちも最初は同じでコースを決めて入ります。ところがコースで入っても熾烈な競争があり、専門知識の修得により出世の度合が違ってくる等、大変さは入社してからという意味では日本と変わりません。
 当時、印象に残っている事があります。私が「幹部社員はジェネラリストで他はスペシャリストなのか?」と聞いてみたところ、ジェネラリストは社長だけで他はスペシャリストであるとの事でした。ジェネラリストを養成するコース等はなく、それぞれのコースで競争があります。それぞれの集団で切磋琢磨して、それぞれの集団でトップになり、その中から社長が選ばれるとの事でした。
 因みに35年位前にシティバンクの社長(ジャック・ウェルチ氏と記憶)になった方がいました。どこの畑の人間かというとコンピューター畑の人間との事でした。日本は遅れていますが、アメリカはコンピューター社会です。それぞれの集団でヒエラルキーがありそこでトップになると社長になれる可能性が出てくるという事です。アメリカの凄いところは、入社する時は学歴等が必要ですが、その後は学歴等には関係なく実力主義との事です。
 以前「ワーキングガール」という映画を見ました。私はビジネス関係の映画が好きなのでよく見ているのですが、どういうストーリーなのかというと、幹部社員(年俸制の身分)と秘書の話なのです。向こうでは幹部社員になると部屋や独立したスペースが与えられます。アメリカでは幹部社員の執務スペースは全て仕切られていて、入口には必ず秘書がいます。そして部屋の中にボスがいる訳です。主人公は秘書だったのですが、ボスがたまたま怪我をしていない時に秘書がボスの仕事を行う事になったのです。最終的には役員会議でその仕事が認められて秘書は出世をして自分の部屋が与えられるほどの幹部社員になりました。掻い摘んで言えば、パートで入った人が努力して認められて幹部社員(年俸制)になったというストーリーです。何故、こんな話をしたのかというとアメリカの縦社会の賃金の支払い制度を象徴していると思ったからです。
 補足になりますが、MBAではどのような勉強をするのかという話をしたいと思います。MBAはゼミ方式で、2年間ケーススタディで勉強をします。実在する企業事例を取り上げて問題点の討論をします。まず企業についての教材が配られて自分で勉強をします。その後小集団でグループに分かれて討論をします。さらに教授出席のもとゼミナールが開かれ小グループ毎に発表、討議が繰り返され、最後に教授のコメントそしてレクチャーで一講義が終了します。次の週の初めに前回の小ペーパーテストをします。こういう事を2年間繰り返します。そうするとMBAの称号が与えられます。以前、MBAを取得した人に聞いてみたところ、「あんなに勉強した事はなく、ノイローゼになりそうだった。」と言っていました。
 実は私が大学時代に入っていたゼミの先生がアメリカでMBAを取って来られた方でした。もう50年以上前の話になります。その時にアメリカと同じ様に英文の教材が配られて同じ方法で教育を受けた事を思い出しました。2年間のゼミの時間だけではありますが経営者になるに至って、良い経験をさせて戴いたと今でも感謝しております。

 本日は雑談が中心になりました。次回は肩書きの話をします。その後、レジュメに入っていきたいと思います。

2018年9月 開催

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