千年企業研究会

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第77回

アメリカの企業における肩書について

■アメリカの企業における肩書について

 本日はアメリカの企業における肩書の話をしたいと思います。福井塾は講義とは言っても、毎回の様に雑談で終わってしまうケースが多いのですが、今日こそ雑談中の雑談になってしまうものと思います。気楽に聞いて頂きたいと思います。
 私は銀行に勤務していた45年前、社命でアメリカに短期留学する機会がありました。その際、様々な人と名刺交換をしておりますので、今日はその時の記憶に残っている話をします。
 経営の神様と言われているドラッカーが「経営判断とは常識である」という事を言っておりますが、広く様々な知識を知っている事が大事ではないかと思います。そういう意味では、名刺の肩書の話も少なからず将来、役に立つものと思います。
 アメリカでの研修期間中、私は社長や会長といった地位の人達と名刺交換した事はありません。しかし、アメリカ人の会話の中に社長や会長の話題だと思った時は、特に集中して聞いていたところ、CEOやCOO、OFFICERという言葉が頻繁に出ておりました。その後、研修の担当者から「私のOFFICERに会ってくれ」との話があり、そのOFFICERに会う事になりました。会うまでは、OFFICERといっても大した身分の人ではないだろうと思って会ったわけですが、部屋に通され厳つい顔をした人が歓迎してくれたわけですが、ものすごい権威に圧倒されたのを今でも覚えています。今にして思えばその部門の最高責任者だったわけです。つまりOFFICERという地位が「偉い人」なのだと私が最初に気がついた瞬間でした。それより前に何人か名刺を交換した際に「VICE-PRESIDENT」という肩書きの人もいました。直訳すると副社長だからその部門で一番最高位に属する人と思った訳ですが、後日、わかった事ですが、その肩書は日本ではせいぜい部長、部次長、場合によっては課長クラスだとわかりました。つくづくアメリカの肩書きの難しさを実感したわけです。
 ところで、日本の会長はアメリカやヨーロッパにおけるCEOという肩書と同義だと思われがちですが、残念ながら多少、役割は違います。何故なら、欧米と日本では法律が違うので、正確に訳す事は出来ないからです。CEOは企業のトップでCHIEF・EXECUTIVE・OFFICERの略になります。このOFFICERというのはアメリカでは執行役を指します。日本で言う取締役は直訳するとDIRECTORですが、DIRECTORはアメリカでは役員(OFFICER)を監視する役割になります。日本では取締役が執行責任を持っていますのでアメリカで日本の取締役に相当するのはOFFICER(執行役)になります。
 そして、そのOFFICERたる経営陣(EXECUTIVE)のトップ(CHIEF)の地位をCEOと言う訳です。
 皆様がここで理解しておかなければいけないのは、会社においては、ガバナンス体制(統治)が何よりも重要だという事です。日本とアメリカで経営陣の肩書で注意すべきはその形式ではなく体制に違いがある事を理解すべきなのです。すなわちガバナンス体制の違いが分からなければ、アメリカの真の肩書きの意味を本当に理解した事にはならないと思います。
そこで、
(1)アメリカのガバナンス体制
①アメリカはDIRECTORが役員を監視します。故にDIRECTORは直訳では取締役になりますが実体は日本流で言えば監査役です。
②アメリカの経営を執行するものはOFFICER(執行役)と言います。だからOFFICERこそ日本流でいえば取締役になるのです。
(2)日本のガバナンス体制
①日本は監査役が取締役を監視します。
②日本の取締役は法的には代表取締役と取締役の2種類です。代表権を持っているものが経営の最高責任者という訳です。日本の 取締役は経営の執行役ですからアメリカ流に言えば、これこそOFFICERに当たる訳です。
 さらに日本では会長といっても、代表権があるかないかでその役割の重要性は天地の差があります。逆に専務取締役といえど も代表権を 持っていれば、その責任は代表取締役社長と同等の法的責任を負う事も銘記しておいて下さい。
 以上で終わりますがアメリカの肩書きを真に理解するためにはアメリカの会社法を理解する事から始まる事を肝に銘じてください。

次回は私が3ヵ月受けた研修の話をします。

2018年10月 開催

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