令和7年5月20日
税務調整
法人税を何回か勉強してきて、「遅々として進まない。」「理論的で難しい。」という印象を持たれた方が多いかと思います。そろそろ、かなり実務に近い形の話になっていきます。
本日は、税務調整という話をさせて頂きます。税金の額を計算する手続きの事を税務調整と呼びますが、所謂基本原則を理解しないと判らない話になるので大前提として、これまで話してきました。
復習の意味合いにもなりますが、根本的な考え方として、
(会計の公式PL)収益-費用=利益
ここで言う収益は、要は収入で会計上、収益は利益ではないのです。では税務としてどうなるかというと、収益とは言わず益金と呼びます。税務上は費用を損金と呼び、
(税務の公式)益金-損金=所得(法人所得)
となります。この基本原則というか公式というかを理解出来ないと法人税額の算出はできません。
税務調整の話をするうえでの原点、始まりは利益です。厳密には税引前当期純利益となります。なぜ始まりかというと税金を計算するうえで申告書の別表4を使いますが、別表4の冒頭が税引前当期利益から始まるからです。なので税金を計算する上で、当期利益を出す会計が判らないと始まらないという訳です。会計で利益を出した後は別表4でその利益に対して加算・減算し税額を計算していく訳ですが、その項目は大きく4つあります。
①(会計上は)収益ではないが(税務上)益金に入れる…益金算入
②収益ではあるが益金に入らない…益金不算入
③費用ではないが損金に入れる…損金算入
④費用ではあるが損金に入らない…損金不算入
①の益金に算入するものは例えば無償取引に係わるものです。②の益金不算入の例は前回取り上げた配当金があります。配当金は出す側で収入から税金を引かれたうえで出されたものを、受け取る側でも課税すると二重課税になってしまう為、益金から外して良い事になっています。③の損金算入は一つ例があるのですが、今話してしまうとこんがらがってしまう上、後々細かい話で出てきますので割愛します。④の損金不算入はこれまでの話でも出てきました接待交際費や役員報酬、減価償却等が挙げられます。
以上の4つで調整された金額が法人所得で、そこに税率をかける事で法人所得税が計算出来る訳です。
簡単に纏めると、会計で利益を算出し、税務で調整する事で所得が出てくる訳です。なので、こういった公式みたいなものを頭に入れる事で理解がぐっと進みます。出てきた所得に対して税率をかける事で税額が計算出来る訳ですが、この税率というものは一律で原則23.2%です。ただし、中小企業は15%となっております。租税特別措置法では19%ですが、中小企業を育成していこうとなっている事からさらに軽減され15%となっているのです。この法律については適用期限がある事から、法改正とかがなく終了すれば19%になる可能性は高くなっております。この税率についても細かいところがあり、所得が800 万円以下であれば15%、そこを超える部分については23.2%となっております。こういった基本原則を押さえて頂き法人税を計算する事を覚えて頂ければと思います。
といったところで本日の税務調整についての話は終わり、次回からは収益じゃないけど益金に入ってしまう例として低廉譲渡等がありますので、そういった話を交えて進めていきたいと思います。
以 上