令和 7 年 11 月 18 日
損金不算入
<法人税特有の思考過程>
会 計 収益 ― 費用 = 利益(当期純利益)
↓①② ↓③④
税 務 益金 ― 損金 = 所得
① 収益じゃないけど→益金算入(無償譲渡)
② 収益だけど→益金不算入(配当金)
③ 費用じゃないけど→損金算入(繰越欠損金)
④ 費用だけど→損金不算入
今回もまたかと思われるかもしれませんが、復習も兼ねてこの表から進めていきます。
この表にある利益、この利益というのが一番大事です。この利益、当期純利益というものは、株主総会で決議された利益の事であり、誤魔化したりした利益では駄目なのです。企業会計原則に則って、正しく会計処理をした収益を出し、費用を出し、利益を出す。そしてこの利益が株主総会を開いて決議されたものでないと税務署は受け付けません。税務計算するにあたり、この利益が原点となり決算書上の別表4で税務調整される形となります。これは殆どの場合、税理士が行います。勿論、経理側でも行いますが、最終的なチェックは税理士にやって頂き、税務申告します。この流れを頭に入れておいて下さい。上場していないからといって株主総会を省いていい事にはなりません。例え株主が1人だろうと株主総会は開いて、株主議事録を作って、承認された当期純利益を出すべきなのです。この利益をベースに①②③④という税務調整をして所得を計算していきます。では税務調整にどの様なものがあったか思い出して貰いたいと思います。先ず会計上収益じゃないけど益金に入れるものとして無償譲渡があります。既に説明した内容なので詳しくは言いません。2番目に収益ではあるが、益金には入れなくていいという有難いものは配当金です。3 番目、費用ではないけども損金に入れますというものに繰越欠損金があります。そして4番目、費用だけど損金へ入れないもの、本日はこちらを学んでいきます。費用というとお金を払っているものなのだから損金に入れるのが当たり前で、お金を払って損金に入らないと所得が増え、税金が増えてしまいます。本日はこちらの損金不算入から例を挙げて話していきます。
一つは接待交際費で、これは前回取り上げました。二つ目、今日やるのは寄付金となります。寄付金としていくら寄付したって実際に支払っている費用なのだから利益が減ります。だから損金算入でいいじゃないかと思いますが、そうはいきません。寄付金は、考え方としては交際費と似ています。交際費も実際に使う人はどれだけ使っても気にしませんが、実効税率分税金を余計に払っている訳です。寄付金もそれに近い感覚となります。無税の範囲内であれば良いのですが、そこを超えた分は税金を払って交際費や寄付金を使っている感覚が必要です。かくいう私も当時は経理から 40%は税金だなんだとチクチク言われておりましたが、その結果1億2億儲かってるんだからと無視しておりました。色々な経験をして、今では当時の経理部に申し訳なかったと思う様になりました。
交際費と同じ様に寄付金も原則としては、損金不算入ですが、例外もあります。寄付金で損金になる例外は、国や地方公共団体です。他に財務大臣が指定した事業、例えば赤い羽根といった共同募金等です。こちらは財務大臣が変わったら条件も変わるのかというとそこは変わりません。次に特定公益増進法人、これは私立大学や赤十字等です。大学なんかでも何周年事業とかでOB・OG に寄付金を募ったりしますので許可を取れば無税となる訳です。あとは一般の寄付金でも損金算入限度額までは可能となります。この限度額は企業毎に計算されます。限度額の算出方法は「(資本基準額+所得基準額)÷4で計算されます。内、資本基準額=(資本金+資本準備金)×0.25%、所得基準額=年間所得税×2.5%という計算式で計算されます。例として、資本金準備金なしで資本金 1,000万円、所得も1,000万円で計算すると損金算入限度額は68,750円となります。馬鹿馬鹿しい数字ですが、年間でこの金額までしか損金算入できず、超えた金額は課税されてしまいます。だから寄付金というのは本当に心からそういう人達を救ってあsげようという気持ちがないとできません。個人で寄付されている方なんかは税金を払った後に残ったお金でやっているので、その福祉活動は本当に素晴らしい事だと私は思います。
さて、次は役員報酬についてやっていきます。先ず従業員に対する給与は無条件で損金となります。この前提は、従業員が自分で給与を決められないからで、会社が決定した範囲内となっているからです。では役員はどうか。
例えば上場会社の副社長でも自分で決められるなんて事は有り得ません。殆どが合議で決められたりします。ですが、中小で一族経営なんかだと個人の裁量で決められます。なので、色々な規制を設けているのです。その規制がどんなものなのかを覚えておかないと、多額の税金を払う事になったりします。では、この役員に対する報酬をどうしたら損金に入れられるかというと、一番有名なのは、12 分の1均等払いとする事です。年俸は幾らというのを事前に決め、それを12 分割して毎月同じ金額を払っていきますと、役員の報酬といえども全額損金となります。ここで気を付けないといけないのが、例えば会社の業績が良くて特別賞与として全社員に10万円ずつ配りますとなった時に、役員に配った分は損金に出来ず税金が掛かってしまう事です。この役員報酬の分割払いについては、事前に税務署に届出をして承認が得られないといけません。この届出というのは稀に受理されない事があります。例えば、資本金100万円、売上5,000万円の会社で役員報酬を1億円にする様にあまりにも荒唐無稽だと、それはちょっとおかしいんじゃないかとなります。また同業他社と比較してあまりにもかけ離れている場合も受理されないことがあります。税務署は色々な会社の情報が集まってくるのでこの規模でこの役員報酬は過剰ではないかと比較される訳です。また経営状況での否認もあります。赤字で累積損失まで出している企業が過剰な役員報酬を貰おうとしている場合も否認されます。ただ通常こういった経営状況の場合、利益が出ていないのに自分だけたくさん報酬を貰おうなんて会社はすぐに倒産しますし、そんな社長はいません。何れにせよ否認されるなんて事は滅多にありません。役員報酬において大事なのは、定款で定める範囲内である事です。株主総会の決議で何月何日、株主が3名に対して説明し、決議をしたということが証明出来ればいい訳です。
というわけで、あまり進みませんでしたが、寄付金と役員報酬が終わって、次は退職金、役員退職金について話していきます。その次には減価償費と続けてやっていきたいと思います。本日は以上とします。
以 上
